事業部主催『秋の遠足 製本工場へ見学に行こう!』
2023年10月11日のよく晴れた昼下がり、都営三田線の終点「西高島平駅」改札に参加者15名が集合。
そこから10分くらい歩き、荒川の隣を流れる新河岸川沿いに建つ、割と頑丈そうな2階建ての建物が、今回の目的地『株式会社清美堂』。
到着すると社員さんたちが快く出迎えてくれて、まずは2階に通され、社長の秋田秀明さんからお話を伺う。
清美堂は主に福音館書店の絵本の製本を行っており、今の社長が3代目。
製本には大きく分けて「かがり綴じ」と「中ミシン綴じ」の2種類があるが、こちらではノド元まで開きやすい「中ミシン綴じ」にこだわり、さらに独自の製法を加えることで、丈夫で経年劣化しにくい絵本に仕上げているとのこと。
早速2班に分かれて工場見学開始。
「カシャーンカシャーン」というリズミカルな機械音が鳴り響く中、工程ごとにメガホンで丁寧に説明していただく。
表紙貼り・断裁・帳合い・ミシン・くるみ・検品と、絵本がだんだん出来上がっていく過程が面白い。
表紙貼りの機械はドイツ製で、1台5,000万円もするとのこと。
小さな子どもが手にする本なので、接着剤も安全なものを使用するなど、絵本専門の製本工場ならではのこだわりが見受けられる。
社員さんは思ったより少なく、1台の機械につき1人ずつ配置されている感じ。
意外と手作業が多く、何十枚もの紙の束を持ち上げたり(8キロぐらい痩せるらしい)、はみ出した糸をトリマーのようにハサミでカットしたり、最後の検品も1冊ずつ丁寧に人の目で確認する。
機械だけではなく、職人さんの巧みな技によって作られているのだということを実感。
これからはページを捲る度に、職人さんたちのお姿が浮かんできそうな気がする。
工場見学が終わると質問コーナー。
参加者全員からの質問を、社長が1つずつ丁寧に答えていく。
以前は1日に12,000冊の製本を行っていたが、今はそこまでの発注がなく、製本業界全体が厳しい状況になっているとのこと。
その状況を打破するために、この会社の技術を活かした独自の製品を開発する計画があるのだという。
我々紙の本の仕事に携わる身としては、こういう会社にはぜひ生き残って欲しいものだ。
最後に、清美堂の社員さんがなんと参加者の絵本を事前に購入してくださっていて、それにサインを書かせていただくことに。そのお心遣いがとても嬉しかった。
帰りは西高島平駅からほぼ1両貸切状態の電車に仲良く座って巣鴨に移動し、リーズナブルな居酒屋でささやかな懇親会。
とても楽しくて有意義な大人の遠足だった。
(文:つしまひろし 写真:つしまひろし、横山拓彦)
※清美堂さんでは、随時工場見学を受け付けているとのこと。
この記事を読んで興味が湧いた方は、ぜひ見学してみてはいかがでしょうか。
株式会社清美堂ホームページ:https://seibidou-ehon.com/